ダニ媒介感染症は、病原体を保有するダニに刺されることによって発症する感染症です。
日本ではダニが媒介するさまざまな感染症が報告されており、ツツガムシ病や日本紅斑熱などは、比較的頻度が高い感染症であることが知られています。
しかし、これらの感染症の中には、頻度は高くなくても重篤な経過をたどるものもあります。中でもダニ媒介性脳炎ウイルスを保有するマダニに咬まれることによって発症するダニ媒介性脳炎は特に注意すべき疾患と言えます。

ダニが媒介する感染症

国内におけるダニ媒介感染症

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疾患病原体発生数
ツツガムシ病Orientia tsutsugamushi (リケッチア)年間約300~500件(2001~)1)
日本紅班熱Rickettsia Japonica(リッチケア)2,726件(2007~2019)1)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)SFTSウイルス(ウイルス)402件(2013~2019)1)
ライム病Borrelia garinii/B.afzelii(細菌)231件(1999~2018)1)
回帰熱B.miyamotoi(細菌)2件(2011~2013)2)
ダニ媒介性脳炎(TBE)ダニ媒介性脳炎ウイルス(ウイルス)7件(1993~2024)1)
エゾウイルス感染症エゾウイルス(ウイルス)7件(2014~2020)3)
Q熱Coxiella burnetii/(リケッチア)75件(1999~2001)1)
野兎病Francisella tularensis(細菌)1,372件(1924~1994)1)※1999年の1件以降報告なし
オズウイルス感染症オズウイルス(ウイルス)1件(2023)1)

*感染症法上の名称は「ダニ媒介脳炎」

1)国立感染症研究所 感染症情報 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases.html(2024年10月閲覧)
2)厚生労働省:マダニ媒介性の回帰熱に関するQ&A https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/kaikinetsu_qa.html(2024年10月閲覧)
3)松野啓太. ウイルス 2021; 71: 117-124

2024年11月作成 TCV45O002A